こんにちは。メキシコでビジネスを展開する日系企業にとって、毎年年末の大きな労務トピックとなるのが「アギナルド(Aguinaldo:年末ボーナス)」です。ここ数年、現地メディアや議会を賑わせている「アギナルドを現行の15日分の支払いから30日分に倍増する法案(通称:Aguinaldo Digno)」ですが、「2026年はどうなるのか?」「本当に変更されるのか?」と不安に感じている人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、メキシコ労働法(LFT)の公式情報と、最新の議会提出資料に基づき、現在の審議状況と企業が知っておくべきポイントを分かりやすく解説します。
はじめに
結論から申し上げますと、現在もまだアギナルド(クリスマスボーナス)の支払いは基本給与の15日分(2026年6月現在)となっています。
1. 現行のメキシコ労働法(LFT)におけるルール
まず、現時点で法的に義務付けられている公式ルールをおさらいしておきましょう。メキシコ労働法第87条では以下のように定められています。
- 最低支給日数: 15日分の基本給与
- 支給期限: 毎年12月20日まで
- 対象者: 1年以上勤務したすべての労働者(1年未満の場合は在籍期間に応じた日割り計算)
【公式条文(LFT 第87条)】
“Los trabajadores tendrán derecho a un aguinaldo anual que deberá pagarse antes del día veinte de diciembre, equivalente a quince días de salario, por lo menos…”
(労働者は、少なくとも15日間の給与に相当する年次アギナルドを12月20日より前に受け取る権利を有する)
現時点ではこの法律がそのまま有効ですので、企業側が焦って支給日数を変更する必要はありません。
2. 新たな動き:一律30日ではなく「段階的引き上げ」へ?
これまで議会で議論されてきた法案は「一律で15日⇒30日」というものでしたが、中小企業のコスト負担があまりにも大きすぎるため、経営者団体から強い反発が起きていました。
これを受け、直近の議会(Movimiento Ciudadano党などの提案)では、「労働者の勤続年数(Antigüedad)に応じて段階的に日数を増やす」という修正案が提出され、新たな議論の軸となっています。
提案されている「段階的引き上げ」のシミュレーション(現時点では確定ではありません)
もしこの修正案が将来的に可決された場合、以下のようなスケジュールでの導入が予想されています。
| 勤続年数(Antigüedad) | 支給されるアギナルドの日数 |
| 1年目 | 15日分(現行通り) |
| 2〜3年目 | 20日分 |
| 4〜5年目 | 25日分 |
| 6年目以降 | 30日分 |
この方式であれば、長く会社に貢献してくれた従業員を優遇する形になるため、企業側にとっても「離職率の低下(リテンション)」につながるメリットとして捉え直すことができるとの考えのようです。しかし、こちらもまだ議会での審議段階(未可決)です。
3. もう一つの注目点:アギナルドの「所得税(ISR)免税」議論
労働法改正の動きに付随して、下院(Cámara de Diputados)の法案提出システムの公式資料によると、「アギナルドにかかる所得税(ISR)の免除額を拡大する(または完全に非課税にする)」という所得税法改正の提案も同時に行われています。
現在、アギナルドは一定額(UMA基準)までしか非課税になりませんが、これが完全に非課税、もしくは免税枠が拡大されれば、「従業員の手取り額」だけを増やすことができるため、今後の着地点として注目されています。
4. 日系企業が今取るべきアクション
現時点で法案が成立していないとはいえ、メキシコの労働環境は近年「労働時間の短縮」、「有給休暇の倍増(Vacaciones Dignas)」や「アウトソーシング禁止」など、労働者優位の改革が急速に進んでいます。日系企業の経営者・人事担当者の皆様は、以下の準備を推奨します。
- 就業規則・労働契約書の確認:自社の契約書に「法律の定める最低ライン(15日)」と書かれているか、「30日」などの固定日数が書かれているかを確認する。
- 労務コストのシミュレーション:仮に「段階的引き上げ」が導入された場合、自社のローカルスタッフの平均勤続年数から、どれくらいの総人件費アップになるかを事前に試算しておく。
- 公式情報(Diario Oficial de la Federación)の注視:噂に惑わされず、政府官報(DOF)への掲載をもって正式施行となるため、公式な発表を待つ。
まとめ
2026年現在、メキシコのアギナルド支給義務は「12月20日までに15日分」のまま変更ありません。
しかし、議会では労働者の待遇改善に向けた議論が活発に続いており、将来的な増額や段階的導入の可能性は極めて高いと言えます。最新の法改正情報をいち早くキャッチアップし、現地の商習慣に合わせた柔軟な労務マネジメントを行っていきましょう。何かあればまたアップデートをさせていただきます。
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メキシコの労働法改正は非常に動きが早く、法案が可決された場合のリスクマネジメントは各企業の「従業員の平均勤続年数」や「現在の給与体系」によって大きく異なります。
- 「もし法改正が適用されたら、自社の人件費はどれくらい膨らむ?」
- 「現在の就業規則や労働契約書のままで、法的なリスクはないか?」
- 「メキシコ人スタッフのモチベーションを下げずに、コストを最適化する方法は?」
私達は、日系企業の皆様がメキシコで安心してビジネスに専念できるよう、各社様の状況に合わせた個別のアドバイザリーや、将来的な労務コストのシミュレーション・分析を行っております。
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免責事項(Disclaimer)
本記事で提供している情報は、作成時点(2026年6月)におけるメキシコの労働法および議会での法案審議状況に基づいた一般的な解説です。情報の正確性には万全を期しておりますが、法改正の進捗や解釈は事案によって異なる場合があります。実際の労務管理、就業規則の変更、法的判断にあたっては、必ず事前に当事務所の専門コンサルタントや、現地弁護士・会計士などの専門家へご相談いただきますようお願い申し上げます。本記事の情報を用いて行う一切の行為について、当方は何ら責任を負うものではありません。
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