こんにちは。1990年代にメキシコへ赴任し、現地法人を通じてIMSSへ加入していた方は、現在のAFORE口座とは別に「SAR 92」と呼ばれる退職積立資金が残っている可能性があります。
特に、1992年5月から1997年6月までの間にメキシコで勤務していた方は、SAR 92の対象となる可能性があります。
この記事では、1990年代にメキシコで勤務していた日本人元駐在員を主な対象として、SAR 92の基本、対象となる期間、AFOREへの統合、確認する際の注意点を解説します。
SAR 92とは何ですか?
SARは、Sistema de Ahorro para el Retiroの略で、日本語では退職貯蓄制度または退職積立制度に相当します。
SAR 92は、現在のAFORE制度が始まる前の1992年に導入された制度です。
IMSS加入者については、主に1992年5月から1997年6月までに拠出された退職積立資金を指します。
1997年7月以降は、新しい社会保険法のもとでAFOREによる個人口座制度が本格的に始まりました。そのため、1990年代に勤務していた方は、勤務時期によって次の両方の資金を持っている可能性があります。
- 1992年5月から1997年6月までのSAR IMSS 92
- 1997年7月以降のAFORE個人口座資金
これはすごくメキシコらしいのですが、これらが現在のAFORE口座に正しく集約されている場合もあれば、SAR 92の資金が別に残っており、統合手続きが必要な場合もあります。
SAR IMSS 92の対象者は誰ですか?
原則として、次の条件に該当する方が確認対象になります。
- 1992年5月から1997年6月までにIMSSへ加入していた
- 当時、勤務先が退職積立金を拠出していた
- 現在、AFORE口座にSAR 92の資金が反映されていない、または反映状況が不明である
日本人駐在員であっても、メキシコの現地法人から給与を受け取り、IMSSへ加入していた場合は対象となる可能性があります。
ただし、単にメキシコに居住していた、または現地で勤務していたというだけでは判断できません。実際にIMSSへ加入し、勤務先から拠出が行われていたかを確認する必要があります。
1996年から1998年まで勤務していた場合は対象になりますか?
1996年から1998年までIMSSへ加入していた場合、勤務期間が制度の切替時期をまたいでいます。
この場合、次の2種類の資金が存在する可能性があります。
- 1996年から1997年6月までのSAR IMSS 92
- 1997年7月から1998年までのAFORE制度下の資金
したがって、現在のAFORE口座を確認する際には、単に総残高を見るだけでなく、資金の内訳も確認することが重要です。
1997年より前の勤務分が表示されていない場合には、SAR 92資金が統合されていない可能性があります。
SAR 92とAFOREは何が違いますか?
SAR 92とAFOREは、どちらも退職資金に関する制度ですが、仕組みと時期が異なります。
SAR 92は、1992年から1997年まで利用されていた旧制度です。当時は、勤務先が選んだ銀行に労働者の退職資金を預ける仕組みが採用されていました。
一方、AFOREは、1997年以降に本格導入された個人口座の管理機関です。現在は、労働者が選択したAFOREが個人口座を管理します。
そのため、古いSAR 92の資金が当時の銀行記録に残っている場合、現在のAFORE口座へ移すための「Unificación de recursos SAR 92」が必要になることがあります。
SAR 92の資金は自動的にAFOREへ移っていますか?
必ずしも自動的にすべての資金が反映されているとは限りません。
勤務先、銀行、NSS、氏名、CURPなどの情報が正しく一致していれば、すでに現在のAFORE口座へ統合されていることもあります。
一方で、次のような場合には統合されていない可能性があります。
- 当時の銀行口座情報が現在の個人口座と結びついていない
- NSSが複数存在する
- 昔のNSSと現在のCURPが紐づいていない
- 氏名、生年月日、国籍などの登録情報が一致していない
- AFOREに一度も正式登録していない
- 当時の勤務先が異なる番号でIMSS登録を行っていた
- 資金を証明する銀行明細などが提出されていない
そのため、まずはAFOREへ正式登録し、Estado de Cuentaの内訳を確認する必要があります。
SAR 92があるか確認する方法
SAR 92の確認は、概ね次の順番で進めます。
1.CURPを確認する
メキシコ政府のCURP照会ページから、現在有効なCURPを確認します。
CURPのPDFを取得できる場合、そのCURPが政府の登録システム上に存在することは確認できます。
ただし、CURPが取得できることと、昔のNSSやSAR 92資金に正しく紐づいていることは別の問題です。
2.NSSを確認する
NSSは、IMSSが発行する社会保障番号です。
NSSが分からない場合は、IMSSのオンラインサービスや過去の資料から確認します。
NSSは、次の資料に記載されている可能性があります。
- INFONAVIT関連書類
- 当時の勤務先が保管している給与・社会保険資料
複数回赴任している場合は、それぞれの赴任で同じNSSが使われていたかも確認します。
3.現在のAFORE管理先を確認する
オンラインにて、現在の個人口座の管理先を確認します。
特定のAFORE名ではなく「割り当て」と表示される場合は、口座は存在するものの、本人がAFOREへ正式登録していない可能性があります。
その場合は、オンラインのサイトにて、希望するAFOREへの登録を進めます。
4.AFOREのEstado de Cuentaを確認する
AFOREへ正式登録した後、Estado de Cuentaを取得し、SAR IMSS 92に関する残高が表示されているか確認します。
表示がない場合でも、資金が存在しないと直ちに判断することはできません。過去の勤務記録や銀行資料をもとに、SAR 92の統合申請を行える可能性があります。
SAR 92を現在のAFORE口座へ統合する方法
SAR 92の統合は、原則として現在登録しているAFOREを通じて行います。
基本的な流れは次のとおりです。
- 希望するAFOREへ正式登録する
- AFOREで本人確認記録を作成する
- SAR 92の統合を希望することを伝える
- 必要書類を提出する
- AFOREが過去の銀行・制度記録を照会する
- 資金が確認された場合、現在の個人口座へ統合される
この手続きは、本人がAFOREに正式登録されていることが前提です。
割当状態の場合は、先に通常のAFOREを選択し、口座登録を完了させる必要があります。
SAR 92の統合に必要な書類
本人の状況やAFOREによって異なりますが、一般的には次のような書類を求められる可能性があります。
- 本人確認書類
- CURP
- NSS
- AFOREの口座情報
- 住所証明
- 当時の銀行が発行したSAR 92の口座明細
- 当時の給与明細
- IMSS加入記録
- 勤務先に関する資料
- SAR 92の資金があることを確認できる書類
特に重要なのが、当時SAR資金を管理していた銀行の銀行明細になります。
ただし、資料が手元にない場合でも、直ちに手続き不可能とは限りません。AFOREへ相談し、NSSや勤務情報から検索できるか確認する必要があります。
当時の銀行が分からない場合はどうしますか?
1990年代のSAR 92では、勤務先が銀行を選び、資金を預けていました。
そのため、本人が当時どの銀行で管理されていたか把握していないことも珍しくありません。
まずは次の資料を確認します。
- 当時の給与明細
- SARの口座明細
- 銀行から届いた書類
- 元勤務先の人事・給与資料
- IMSSの加入記録
- 過去のAFORE関連資料
資料がない場合は、現在登録しているAFOREに勤務期間、NSS、勤務先名などを伝え、資金の検索や統合が可能か別途相談する必要があります。
SAR IMSS 92とSAR INFONAVIT 92の違い
1992年から1997年までの資金には、大きく分けて次の2種類があります。
SAR IMSS 92
退職や年金のための積立資金です。
現在のAFORE口座への統合や、年金・払出し手続きについては、主にAFOREおよびIMSSが関係します。
SAR INFONAVIT 92
住宅に関する積立資金です。
勤務先が住宅基金として拠出した資金であり、INFONAVITが関係します。
現在のAFOREのEstado de Cuentaに表示される場合もありますが、資金の返還や確認ではINFONAVIT側の記録も重要になります。
両者は同じSAR 92という名称で呼ばれることがありますが、資金の目的と管理機関が異なるため、分けて確認する必要があります。
1990年代と2010年代以降に複数回赴任している場合
1990年代に一度赴任し、その後2010年代以降に再赴任している場合は、情報が一つの口座に集約されているか確認することが重要です。
次のような問題が発生している可能性があります。
- 赴任ごとに異なるNSSが使用されている
- 昔のNSSにSAR 92が残っている
- 新しいNSSに1997年以降のAFORE資金が入っている
- 現在のCURPが一方のNSSにしか紐づいていない
- 複数のAFORE口座が存在している
- SAR 92のみ現在の口座へ反映されていない
この場合は、単に一つのAFOREへ登録するだけではなく、NSSやAFORE口座の統合が必要になる可能性があります。
日本からSAR 92の手続きはできますか?
AFOREの所在確認や口座への登録など、一部の手続きは日本から進められる可能性があります。
ただし、SAR 92の統合では、本人確認、書類原本、署名、AFORE窓口での申請などを求められる場合があります。
特に、次のような問題が起こりやすいです。
- 日本からIMSSメキシコのウェブサイトへアクセスできない
- 本人確認が通らない
- 日本の電話番号が利用できない
- 当時の銀行明細が手元にない
- AFOREからメキシコ国内の住所証明を求められる
- 外国人のパスポートや在留カードがオンライン認証されない
- 本人がメキシコの窓口へ行くよう案内される
国外からの対応可否はAFOREによって異なるため、登録先のAFOREへ個別に確認する必要があります。
SAR 92についてよくある質問
Q.1992年より前に勤務していた場合もSAR 92の対象ですか?
SAR IMSS 92の対象期間は、原則として1992年5月から1997年6月までです。
1992年5月より前の勤務については、SAR 92とは異なる制度や記録が関係します。
Q.1997年以降だけ勤務していた場合もSAR 92がありますか?
通常、1997年7月以降の勤務分はAFORE制度下の資金となるため、SAR IMSS 92の対象にはなりません。
ただし、1997年以前から継続して勤務していた場合は、SAR 92とAFORE資金の両方が存在する可能性があります。
Q.CURPでAFOREが見つかれば、SAR 92も確認できますか?
AFOREの所在地が確認できても、SAR 92の資金まで現在の口座に統合されているとは限りません。
AFOREへ正式登録し、口座明細の内訳を確認する必要があります。
Q.SAR 92の書類が何もありません。確認できますか?
書類がない場合でも、NSS、勤務期間、勤務先名などからAFOREへ照会できる可能性があります。
ただし、当時の銀行明細などがない場合、資金の特定や証明に時間がかかったり、追加資料を求められたりする可能性があります。
Q.帰国した外国人であればすぐに全額受け取れますか?
帰国またはメキシコ国外への転居だけでは、通常、全額払出しの理由にはなりません。
本人の年齢、IMSSの年金決定、Negativa de Pensión、加入記録などを確認したうえで、払出し可否を判断します。
Q.SAR 92とAFOREの手続きは自分でできますか?
本人がCURP、NSS、当時の資料を保有し、スペイン語でAFOREやIMSSと連絡できれば、自分で進めることも可能です。
一方で、古い勤務記録の確認、複数NSS、CURPとの不一致、国外からの本人確認などがある場合は、手続きが複雑になるケースが多いです。
RASK ConsultingのSAR 92・AFORE確認支援
1990年代にメキシコで勤務していた方のAFORE確認では、現在のAFORE口座だけでなく、SAR 92の資金が正しく統合されているかを確認する必要があります。
RASK Consultingでは、次のような支援を行っています。
- CURP・NSS・AFORE情報の整理
- AFORE口座の管理先確認
- AFORE、IMSS、INFONAVITへのスペイン語問い合わせ支援
- 国外からの手続きに関する進捗管理
SAR 92の資金の存在や払出し可否は、関係機関の記録と審査によって決まります。当社が資金の存在や受領を保証するものではありません。
1992年から1997年までにメキシコで勤務していた方、1990年代のAFORE資金が現在の口座に反映されているか分からない方は、赴任期間、勤務先、NSS、CURP、お手元の資料を整理したうえでご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の年金、退職資金、払出しまたは法的権利を保証するものではありません。必要書類や手続きは、本人の状況、AFORE、IMSS、INFONAVITその他の関係機関の判断によって異なります。
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