こんにちは。今回はメキシコの評価制度におけるインセンティブ制度についてお話をしたいと思います。
はじめに
メキシコ法人の人事評価制度について様々な日系企業様から相談を受ける中で、個人的によく感じることがあります。それは、「評価制度は、会社の財務体質・利益構造に合わせて考える必要がある」ということです。
最近では、日系以外の外資系企業の影響や対抗するといった意味も込めて、
- KPI管理
- 成果主義
- インセンティブ制度
- モチベーション向上
- 売上連動賞与
といった制度の構築をしたいという話を伺います。
もちろん、これらが有効な会社もありますが、実際には「そもそもその制度が合わない会社」も存在します。
今回は、メキシコ法人でよく見られる大きく2つのタイプの会社を例に、評価制度との相性について整理したいと思います。
会社の2つのタイプについて
① 売上を自社でコントロールしやすい会社
まず一つ目は、「自社の活動によって売上を大きく変えられる会社」です。
例えば、
- 営業活動によって受注が増える
- 新規顧客開拓が重要
- 新商品開発が利益に直結する
- 提案力によって売上が変わる
- マーケティングで問い合わせ数が増える
といった会社です。
このような会社では、
- 営業インセンティブ
- 成果報酬制度
- KPI評価
- 利益連動賞与
などが比較的機能しやすい傾向があります。
なぜなら、「本人の行動によって結果が変わる」からです。
成果と報酬の関係が比較的分かりやすく、社員側も納得感を持ちやすくなります。
② 高い比率で売上が顧客に連動する会社
一方で、メキシコの日系製造業では、もう一つのタイプも非常に多く見られます。
それは、「売上・生産量が取引先に大きく左右される会社」です。
例えば、
- 納品先の生産計画によって自社の生産数が決まる
- 毎月の受注量がほぼ固定
- 価格交渉力が難しい
- 特定顧客売上割合が高い
- 手作業中心で効率化余地が小さい
といったケースです。
この場合、現場社員がどれだけ頑張っても、
- 売上が急に増える
- 生産量が大きく増える
- 利益率が改善する
ということが難しい場合があります。
つまり、「社員がコントロールできない数字」が多いのです。
この状態で強い成果主義を導入すると、
- 「何を頑張れば評価されるのか分からない」
- 「結局は顧客次第では?」
- 「評価が運に左右される」
- 「頑張っても給料は上がらない」
という不満につながるケースがあります。
製造業=成果主義が向かない、ではない
ここで重要なのは、「製造業だから成果主義が向かない」という話ではありません。
製造業でも、
- 汎用的な製品を扱っている
- 新商品開発を積極的に行っている
- 新規顧客開拓が上手くいっている
- 新商品の販売が順調である
会社は、売上を自社でコントロールできる幅が大きくなります。
その場合は、インセンティブ制度が有効に機能する可能性があります。
つまり重要なのは、「業種」ではなく、「どこで利益を作っているか」という財務体質を見る必要があるという点です。
評価制度構築の前に見るべきもの
個人的には、評価制度を考える前に、
- 会社はどこで利益を生み出しているのか
- 現場は何をコントロールできるのか
- 売上・利益は誰の行動で変わるのか
を整理することが非常に重要だと考えています。
場合によっては、「成果主義を強める」よりも、
- 安定運用
- 品質維持
- 離職防止
- 多能工化
- 改善提案制度
の方が会社に合っているケースもあります。
まとめ
評価制度には「万能の正解」はありません。
会社によって、
- 利益構造
- 売上の作られ方
- 現場がコントロールできる範囲
- 会社のビジョン、方針
- 重きを場所
が異なるためです。
そのため、
「とりあえず成果主義」
「とりあえずインセンティブ」
を導入するではなく、まずは会社の事業構造や財務体質を整理した上で、制度を考える必要があります。
特にメキシコ法人では、
- 顧客依存
- 人材流動性
- 日本本社との方針差
- 現場運用負荷
なども含めて考える必要があるため、制度設計だけでなく「実際に運用できるか」という視点も重要になります。
終わりに
「成果主義を導入したいが、本当に自社に合うのか分からない」
「インセンティブ制度を導入したが機能していない」
「評価制度が形骸化している」
そのような場合は、お気軽にお問い合わせください。
「会計×人事」の視点より、現場運営・財務構造を把握させていただき、制度運用の方向性整理をサポートしています。
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