メキシコで施行された「椅子法(Ley Silla)」とは?企業が知っておくべき労働法改正のポイント

こんにちは。メキシコに進出している企業や現地で店舗・工場を運営する日系企業にとって、近年の労働法改正の動向は非常に重要です。特に注目を集めているのが、通称「椅子法(Ley Silla)」と呼ばれる連邦労働法(LFT)の改正です。

本記事では、椅子法の概要、企業に課される義務、施行のタイムライン、違反時のリスクについて分かりやすく解説します。

1. 「椅子法(Ley Silla)」とは?

「椅子法」は、接客業や小売業、製造業などで長時間の立ち仕事を強制される労働者の健康と尊厳を守ることを目的とした法律です。

参照元:政府のウェブページより

立ちっぱなしの勤務による静脈瘤、腰痛、筋肉疲労などの健康被害を防ぐため、雇用主に対して「背もたれ付きの椅子の設置」「定期的な着席休憩」を法律で義務付けました。

ご存じの通り、メキシコは労働者が搾取されているという歴史的背景があり、労働者を有利するという動き・傾向があり、労務では多くの困難、やりづらさを感じている企業が多いと感じております。今回のこちらの法律もご認識の通り、労働者のための法改正となります。

2. 企業側に義務付けられた主なポイント

今回の改正により、連邦労働法(第132条、133条、423条など)に以下の義務・禁止事項が追加されました。

  • 背もたれ付き椅子の確保:小売・サービス業などの事業所では、労働者が業務中または定期休憩中に座れるよう、十分な数の「背もたれ付き椅子」を用意しなければなりません(※スツールやベンチは不可)。
  • 終日立ち仕事の禁止:勤務時間中ずっと立ち続けることを強制したり、業務中に座ることを禁止したりする行為は違法となります。
  • 就業規則の改定と休憩エリアの整備:作業の性質上、常に座って作業することが難しい場合でも、近くに休憩用椅子を備えたスペースを設置し、定期的な休憩ルールを就業規則(Reglamento Interior de Trabajo)に明記する必要があります。

3. 施行タイムラインと企業が対応すべき期日

法律の公布から全面適用までのスケジュールは以下の通りとなっており、現在の段階ですと監査に入られる可能性があります。

  • 2024年12月19日:メキシコ連邦公式公報(DOF)にて改正案が公布。
  • 2025年6月17日:法律が正式施行(企業は椅子の設置義務が発生)。
  • 2025年12月14日:就業規則の改定・届出に関する180日間の猶予期間が終了。
  • 現在:労働社会保障省(STPS)による立ち入り検査・監査の対象となっています。

4. 未対応の場合の罰則リスク

万が一、椅子法の要件を満たしていないと判定された場合、雇用主には以下のペナルティが科される可能性があります。

  • 罰金:250〜5,000 UMA(約2.9万〜58.6万メキシコペソ相当)。
  • 業務停止措置:再犯や悪質な違反が確認された場合、事業所の一時閉鎖や業務停止命令が出るリスクもあります。

まとめ

椅子法は単なる努力目標ではなく、違反すると明確な厳罰が適用される重大な労働規制です。メキシコ拠点を持つ企業は、設備環境の見直しと就業規則の更新を速やかに実施し、コンプライアンスを徹底することが求められます。

RASK Cnsultingではコンプライアンス等に関するアドバイスも行っていますので、ご質問・ご依頼がございましたらいつでもご連絡いただければと存じます。

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